vol.03
いつかお店がなくなっても。
2026.10.30
古久保寿樹
古久保寿樹
古久保寿樹
いきなりですが、
商売をするうえで、売上は大事です。
店を守り、仲間と働き続けるために、日々の数字から目をそらすことはできない。
け、れ、ど。
だ、け、ど。
ここからが今日の本題です。
一日の出来事を売上だけで振り返ると、大切な何かがこぼれ落ちてしまうよ、って話です。
スタッフが、昨日までできなかったことを、自分でできるようになった。(嬉しい)
お店の前で、その日初めて会った人に近所のお店を紹介したら、「あの店、よかったよ」とわざわざ戻ってきてくれて、そのままついつい立ち話になった。(良かった良かった)
こんなことが、僕の日常にはよくあります。
まぁ、立ち話をしているこの時点で、売上は0円。笑。
でも結局、僕はそういう時間が、好きなんだと思う。
もちろん、それだけで店は続かない。
でも、それがなかったら、僕は何のために店を続けたいんだろうか、とも思う。
さて、ここでひとつ質問です。
「白浜の魅力は何ですか?」
この先を読む前に、ちょっとだけ考えてみてほしい。
「温泉や海の美しさ!」
そんな声が聞こえてきそう。
もちろん、僕もそう思う。
そして僕は、場所と一緒に、人の顔も浮かぶんです。
試しに、あなたの好きな街を思い浮かべてほしい。
その景色と一緒に、誰かの顔が浮かんできませんか?
バックパックを背負って、一人で旅した国。
心細くてたまらない日に、助けてくれた現地の人。
あるいは、親友と旅した場所や、学生時代を友人たちと過ごした街。
旅の途中でふらっと立ち寄った店で、思いがけずマスターと話が弾んだ夜もあったり。
そう、振り返れば、いろんな場所の記憶に、誰かと過ごした時間が重なっている。
懐かしいな。
あの人、どうしてるかな。
今度、また会いに行こう。ってね。
白浜にも、景色と一緒に、そんなふうに思い出してもらえる場所や人が増えたら、僕はうれしい。
「また行きたい」の中に、「また会いたい」がある街。
店をやっていて、自分も誰かにとっての「また会いたい人」になれたら、やっぱりうれしい。
思うようにいかず、焦る日もある。
余裕がなくて、目の前の人との会話さえ、後回しにしてしまったこともあった。
だからこそ、忘れたくない。
僕が続けたい店には、どんな時間が流れていてほしいのか。
誰かが白浜を思い出したときに、僕らの店で過ごした時間も、ふっと浮かんでくれたらうれしい。
この先いつか、
「むかし白浜に、九十九って店があってね」
なんて、誰かが話してくれたら。
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